瘢痕拘縮形成術
このような症状のかたへ
- 腕や足など関節の動きを障害するキズ跡がある
- 関節の動きでキズがひきつれる痛みがある
- ケガをしてから半年以上経過している
特徴
瘢痕拘縮:きずあとによる「ひきつれ」
きずあとは、ケガをした直後より、じょじょに縮む性質を持っています。これは、生体がケガを早く、強く治そうとする、自然な現象です。「創部の収縮」と呼ばれます。
ところが、この現象が、動きに関係する場所に起きると、不便な症状の原因となります。
例えば、まぶたや唇のまわりに起きると目が閉じれなくなったり、口を閉めきれなくなるなどの症状が出ます。また、肩や肘、手足などの関節の近くのきずあとでは、曲げ伸ばしが不自由になることもあります。
さらに、成長過程のお子様の場合には、きずあとによりその周囲の組織の成長が邪魔されてしまう可能性があります。
このようなひきつれを「瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)」と呼び、治療の対象となります。
瘢痕拘縮形成術
ひきつれを改善する手術治療を、「瘢痕拘縮形成術」といいます。
きずあとの部位、向き、大きさ、皮膚のテンションなどにより、治療法はことなります。
線状のきずあとの場合、ひきつれたきずあとに、ジグザグの補助切開を加えて向きを修正して縫い直す、「Z形成術」が代表的な治療法です。
また、ひきつれの程度が大きい場合には、皮弁形成、植皮、エキスパンダー法など、専門的な治療方法を検討することもあります。
当院では、創傷の治療のエキスパートである創傷外科専門医が、最適な治療方法を的確にご提案します。
治療に適した時期
ケガから間もなく、まだきずあとに赤みがある時期は、組織の変化が進行中であり、また、ひきつれの程度も判断しにくいため、治療に適しません。
きずあとはだんだんに、盛り上がりや赤みが目立ちにくくなり、痒みや、固さも治っていきます。瘢痕拘縮形成術は、これらの変化が安定してからおこなう必要があります。個人差もありますが、一般的には半年から1年ほどで安定します。
時間経過とともにきずあとが大きくなったり、赤み、痒みが強くなる場合には、ケロイドの発生の可能性がありますので、お早めに受診してください。
健康保険が適応されます
運動障害を伴う瘢痕拘縮は、健康保険による治療の対象となります。
機能や成長に関する障害を起こす可能性のある疾患ですので、お早めに専門医にご相談ください。>