陥没乳頭形成術
このような症状のかたへ
- つねに乳頭が沈み込んでいる
- 乳頭を引っぱっても引きでてこない
- 出産後に痛みがでたことがある
- 1回の施術でずっと続く効果持続を得たい
特徴
陥没乳頭の原因
陥没乳頭とは、隆起しているはずの乳首が、内側に入りこんでしまっている状態のことを言います。
これは、母乳を乳頭に集める通り道である「乳管」という組織が未発達で、乳腺の厚みよりも短いために、乳首を奥に引き込んでしまうことが原因です。つまり、乳腺の成長に乳管の成長が追いつかない場合に陥没乳頭の状態になってしまいます。
このため、一般的に言って、乳房の大きい方に起きやすい疾患です。
現代は食生活の影響もあり、乳房の大きい女性が増えてきています。これに伴って陥没乳頭の女性が増えてきています。
陥没乳頭の症状
乳頭が引き込まれていることによる形の症状のほかに、機能的な症状も起こします。
- 1. 授乳しにくくなります。
乳首が出にくいため、飲ませにくかったり、乳首が短いことで赤ちゃんの吸い付きが悪くなります。重度の陥没乳頭では乳管の通り自体が悪くなり、乳腺で母乳が作られるものの、乳管を通って外に出すことができなくなり、胸が張ることもあります。 場合によっては、乳頭や乳腺の炎症が起きて痛みや熱の原因(うっ滞性乳腺炎)になる恐れがあります。 - 2. 衛生面のトラブルを起こします
陥没乳頭は垢がたまりやすいため、においや皮膚炎、感染症の原因になることがあります。へこんでいるために、十分にスキンケアがおこなえず、授乳期間であればなおさら、炎症の原因となります。
陥没乳頭の治療
陥没乳頭の治療で注意すべきことは、将来、妊娠・出産をお考えの方は、授乳ができるように乳管の機能をしっかり温存しないといけないということです。そのために、当院では、次のような方針で治療しています。
未成年で乳腺が発達する時期
陰圧で吸引をかけてじょじょに乳管をのばす装具での治療をおすすめしています。自宅でおこなうことができ、吸引の圧力を調節することで痛みもほとんどありません。
乳腺が現在進行形で発達する時期に手術による治療をおこなうと、術後の乳腺のさらなる発達で乳管とのアンバランスが起こり、陥没乳頭が再発する可能性があります。
乳腺の発達が終了した時期
手術での治療をおこないます。乳管を顕微鏡で見ながら傷つけないように丹念に延長し、皮膚の裏側から乳首を押し上げて整えます。さらに、隆起した形を維持して、再度、乳頭が引き込まれないように、乳頭の垂直方向の面積を増大し、落ち込みをブロックするような、乳輪皮膚の組み替え(皮弁形成術)をおこないます。
この、形成外科でおこなう専門的なテクニックにより、単純な切開、縫合のみの治療を受けて再陥没した場合でも、高い確率でしっかり隆起した形にすることができます。
乳頭・乳輪は皮膚と異なり、もともと色素が濃いため、きずあとも目立たずキレイな仕上がりになるのが特徴です。
豊胸と陥没乳頭治療の順番
インプラントを用いた豊胸をおこなうと、乳腺が下から押し上げられるので、軽度の陥没乳頭は自然に治ることがあります。そのため、豊胸と陥没乳頭治療の両方をご希望されるかたには、先に豊胸治療をおこないます。
術後の痛みとアフターケア
乳首は神経が敏感で手術は痛いというイメージをお持ちのかたがいらっしゃいますが、手術は局所麻酔により無痛でおこなえます。術後の痛みも、痛み止めの内服薬で十分に抑えられる程度です。
また、手術後しばらくは乳首の感覚が鈍くなることがありますが、数ヶ月でだんだんに回復してきます。
ほとんどの場合、手術翌日に創部の出血がないかを確認し、問題なければシャワー浴が可能になります。乳頭は石鹸の泡でやさしくなで洗いするようにしてください。
乳首への摩擦や圧迫を避けるため、23ヶ月ほど、医療用のスポンジでの保護が必要です。抜糸した後は、スポンジで保護した状態での、運動、ブラジャー等は可能です。性行為等での乳首への刺激は、3ヶ月間の制限があります。
陥没乳頭は健康保険で治療できます。
陥没乳頭は授乳や衛生面の症状を引き起こすため、50歳未満の手術治療は健康保険が適応されます。50歳以上の方は授乳機能への悪影響の危険性は非常に少ないため、自費診療となります。
陥没乳頭は授乳時期に深刻なトラブルを起こすこともあるため、できれば妊娠前に治療しておくことをお勧めします。