レーザー照射
このような症状のかたへ
- 生まれつきのあざがある
- 成長に伴いあざがでてきた
- 皮膚科や小児科で血管腫と診断された
特徴
赤アザ・・・血管腫によるアザ
生まれつき、あるいは成長の過程で幼少期だったり、中年以降になってから、からだの様々な部位に赤い色の「アザ」が出ることがあります。
一般に「赤アザ」と言われるあざの、色の正体は、赤い色を持つ色素である「ヘモグロビン」です。ヘモグロビンは血液中の赤血球に含まれており、赤アザが赤い色を持つのは、血管の
密度が集中した状態になっているからです。原因となる疾患は、ほとんどの場合は「血管腫」という血管の異常です。
血管腫にはいろいろな種類があり、血管腫のタイプ、部位、深さ、大きさ、患者の年齢等により治療法が決まります。特に、ヘモグロビンに反応するタイプの「色素レーザー」というレーザー治療は、治療の中心的な役割を果たします。
色素レーザーによる治療
ヘモグロビンに吸収される波長のレーザー光を照射し、照射部位の血液周囲で熱を発することにより、血管腫を構成する血管を癒着したり退縮させて、じょじょに薄くしていく治療です。
血管腫の状態によっては、複数回の治療が必要になります。この場合、3か月ほどの期間をあけながら照射します。
実際の照射は、麻酔クリームを塗布したのち、レーザーを照射します。照射部位は1週間ほどでゆっくりと赤黒い色になり、2週間後から1〜2ヶ月ほどでじょじょにアザが薄くなっていきます。
年齢や部位、大きさによっては、全身麻酔下での処置が必要になることもあり、この場合には関連病院をご紹介しております。
体表の血管腫に対してのレーザー治療以外の方法としては、冷凍療法、電気凝固療法、放射線療法などが挙げられますが、副作用を伴うことが多く現在はあまり行われていません。
さまざまな血管腫の種類
血管腫には非常に多くの種類があります。
ほとんどの血管腫は皮膚に現れる赤アザだけが症状ですが、場合によっては皮膚の下や筋肉、内臓などにも症状を認めることもあります。
また、早めに治療をしたほうがいいものもあれば、成長とともに自然に薄くなるものもあります。
血管腫に対する最も中心的治療は色素レーザー治療ですが、レーザーでの治療が困難な深部まで血管腫が分布するタイプや、血液の流れる量が多いタイプなどでは、外科的切除術、塞栓療法、硬化療法などが適した治療です。
血管腫には様々な種類があり、それぞれに適した治療があります。また、場合によっては複数の治療法を組み合わせることもあります。治療に適した時期がある場合もございますので、早めに形成外科専門医の診察を受けることをおすすめします。
血管腫は、健康保険で治療できますので、一人で悩まれずに、お気軽に医師にご相談ください。
ご参考に、代表的な血管腫をご説明します。
単純性血管腫
単純性血管腫は、別名でポートワイン血管腫とも呼ばれ、皮膚表面の毛細血管の局所的な異常です。
通常は皮膚の盛り上がりはなく、明瞭な境界線があり、ほぼ均一な色をしています。色は明るいピンク色、赤色、濃い紫色などの場合があります。
生まれつきみられる赤アザで、男性より女性に多く、顔面、首、手足などに比較的多く見られます。
血管腫の病変が皮膚のどこに主に位置しているかで、浅在性、深在性、びまん型に分類されます。単純性血管腫は自然になくなることはありませんが、成長とともに皮膚が厚くなることによって、見た目としては若干、色が薄くなる場合もあります。しかし反対に色が濃くなったり、盛り上がってくることもあります。
単純性血管腫の治療は色素レーザー治療がまずおこなわれます。治療効果は、血管腫の深さ、血管腫内の血管の密度、血管内の血流の速さなどにより影響を受けます。
成人となり、年齢とともに、色の変化や盛り上がりを生じたものは、治療に抵抗を示す場合が多く見られます。幼児期は皮膚が薄く、成人と比較するとレーザー治療の反応は良好です。
乳児血管腫
乳児血管腫は、別名でいちご状血管腫とも呼ばれ、未熟な毛細血管が増殖して起こります。
生まれてすぐか、生後数週以内に発症し、表面がいちごの用に赤く盛り上がり、急速に大きくなります。一般的には成長とともに、自然治癒することが多く、2歳頃から退縮が始まり、5歳までに50%、7歳までに75%のが消失すると言われています。
しかし、目の周囲で視野が邪魔されるなど、血管腫があることにより機能の障害を起こす場合や、擦れる場所で出血などのトラブルを繰り返す場合は、治療の対象となります。また、成長とともに自然に色合いが自然になっても、表面の凹凸やしわ、たるみなどを残してしまうことがあり、大きさ・部位によっては早期に治療に着手します。
治療としてはレーザー治療、凍結療法、圧迫療法、ステロイドの局注療法、内服治療、外科的切除、硬化療法などがあります。適切な治療時期、治療方法を相談するためには、できるだけ早めに形成外科専門医を受診する必要があります。
海面状血管腫
海面状血管腫は、ふくらみを持った柔らかい血管腫で、厳密には「血管の奇形」だと考えられています。幼少時からある場合が多いですが、年を取ってから現れる場合もあります。
一般的には皮膚が少し盛り上がり、押すとぶにっとして軟らかく、中に血液を含んでいるのでぶくぶくした触り心地がします。
動脈と静脈の間に異常な通り道ができてしまう動静脈瘻という病気も似たような見た目を呈しますが、動静脈瘻は触ると拍動を感じ、聴診器をあてると「ザーザー」という音が聞こえることで区別がつきます。
時に、乳児血管腫と外見が似ていることがありますが、海面状血管腫は成長とともに自然治癒することはありません。
海面状血管腫に対しては色素レーザー治療は無効です。
CT、MRI、血管造影検査などの画像検査により病変の大きさ、部位、性質等を確認し、外科的切除術、塞栓療法、効果療法などが検討されます。