筋膜移植術
このような症状のかたへ
- 子供の頃からまぶたが下がっている
- 目を大きく開けようとするとおでこにしわが入るだけでまぶたは上がりにくい
- 先天性眼瞼下垂と病院で診断された
- ほかの方法の手術を受けたが、まぶたが上がらない
特徴
筋膜移植術
筋膜移植術は、(筋膜)吊り上げ術とも呼ばれ、眉毛をあげる筋肉(前頭筋)とまぶたの縁にある瞼板という組織を、ほかの部位から採取した筋膜(筋肉の表面を包む膜)でつなぐ術式です。
これにより、前頭筋の力を利用して、まぶたを開くことが可能となります。
この手術方法を選択するのは、ほとんどの場合が、眼瞼挙筋に収縮する能力がない、もしくは非常に低下している場合です。多くは、生まれつきまぶたが開けない先天性眼瞼下垂に対しておこなわれます。
また、老人性眼瞼下垂でも、重度のもので、腱膜性だけではなく、筋肉の収縮力自体が非常に低下している場合にも、この治療法をおこなうことがあります。
筋膜としては、側頭部にある側頭筋膜や、ふとももの大腿筋膜がよう使用されます。当院では、きずあとを目立たせないために、側頭筋膜を採用しています。
本来は眉毛をあげる前頭筋でまぶたをあげるわけですから、片側の治療では、下を見るときなど、動作によってはどうしても不自然さが生じる場合があります。
そのため、先天性眼瞼下垂や重度の老人性眼瞼下垂でも、眼瞼挙筋の収縮力が多少なりともある場合には、まずは挙筋短縮術をおこない、効果が不十分な場合に、2段階目の治療としておこなうのが一般的です。
収縮力があきらかにない場合には、筋膜移植を初回からおこなうこともあります。
また、両側の治療では、理論的には左右差は生じません。
術後の経過
まぶたはとても腫れやすい部分であり、術後、1週間ほどはかなり腫れぼったい状態となります。この期間に外出される際には、サングラスなどでカバーされる方が大半です。
術後1週間後に抜糸します。洗顔やメイクは、術後翌日から可能です。
個人差もありますが、1ヶ月ほどで初対面の人に気づかれない程度に腫れがひき、完全にすっきりした状態になるのは2〜3ヶ月ほどかかることが一般的です。
また、腫れや内出血を早く引かせたい方には、インディバ(高周波治療器)による深部温熱療法をご用意しています。吸収を早め、ダウンタイムを短縮します。
インディバによる術後ケアに関する詳しいご説明は、こちらをご覧ください。
片側の眼瞼下垂に対する治療では、治療しない側の眼瞼挙筋が、無意識に過度に収縮して、本来の位置よりもまぶたを高くあげています。手術により、眼瞼下垂の側のまぶたが正常化すると、反対側のまぶたは本来の位置まで下がることがあります。この現象をヘリング現象とよびます。
術後、腫れやヘリング現象などにより、手術による効果がどれくらいで落ち着くかを確認するためには、2、3ヶ月待つ必要があります。
眼瞼下垂は健康保険で治療できます
二重まぶたの作成や調整などは、症状を伴わないため、健康保険は適応されませんが、眼瞼下垂の治療は健康保険が適応されます。