切除術
このような症状のかたへ
- ほくろを取りたい
- 比較的大きなほくろである
- 顔などの目立つ部位にほくろがある
特徴
ほくろの正体
ほくろは「色素細胞性母斑」という母斑、黒アザの一種です。 メラニン色素を作り出すメラニン細胞(母斑細胞)の集合体で、一般的には茶や黒の色を持っていますが、中にはメラニンを含まず、白い場合もあります。
比較的小さいものが俗称として“ほくろ”と呼ばれ、面積が大きいものは“アザ”と呼ばれますが、根本的には同じものです。
ほくろの部位によっては、見た目の観点から目立ってしまうことがあります。 ほくろは、あとを目立たせずにきれいに取ることができます。
治療の方法は、部位、大きさ、体質などを総合的に検討し、経験豊富な形成外科専門医が、最適な方法をご提案します。
ほくろと見分けがつきにくい皮膚癌があります
まれですが、ほくろと外見上は見分けがつきにくい、非常に似た皮膚癌(皮膚の悪性腫瘍)ができることがあります。
簡便なチェック方法として、皮膚癌に特徴的な以下のようなサインが知られています。
(英語の頭文字がABCDEになるので、皮膚癌のABCDEと呼ばれます。)
□A(Asymmetry):
左右非対称。ほくろの片側がもう一方と同じでない。
□B(Border irregularity):
境界不明瞭。ほくろに凹凸や切れ込みがあるか、縁が不鮮明。
□C(Color):
色。ほくろの一部の色が異なる。
□D(Diameter):
直径。大きさが大きい。
□E (Evolving):
進行。皮膚病変の大きさ、形、色が経時的に変化する。
皮膚癌の中では、悪性黒色腫(メラノーマ)や、基底細胞癌などが注意を要する種類です。
皮膚癌の疑いがある場合には、レーザーによるほくろの除去ではなく、切除術をおこない、細胞の顕微鏡検査(病理検査)が必要になります。 気になる症状がある際には、必ず医師の診察を受けることをお勧めします。
手術治療:切除術
手術治療は、比較的大きいほくろの治療に適しています。
基本的には、ほくろを切除し、本来ある皮膚の溝(皮膚割線や、RSTL: Relaxed Skin Tension Line など)に合わせて、皮膚縫合をおこないます。
スッと目立たない1本線の縫いあとにするために、ほくろの横の皮膚を含めて紡錘形に切除するので、もともとのほくろの長さよりは少し長くなりますが、皮膚の溝に紛れ込ませて目立ちにくくします。
また、皮膚の溝の方向に合わせるのが難しい部位や、比較的大きいほくろの場合などは、くり抜き法・巾着縫合、皮弁形成術、分割切除術などの、形成外科的な専門テクニックを用います。
ほくろを本当にきれいに目立たなく除去するのは、医者であれば誰がおこなっても同じ、というわけでは決してありません。
きずあとの目立ちにくいラインや、解剖学的な特徴を熟知し、形成外科的縫合法や手術法に習熟している形成外科専門医だからこそ、最もきれいな出来上がりを約束できるのです。
ほくろのレーザー除去
レーザー除去は、比較的小さなほくろの治療に適しています。 長年悩み続けた顔や体のほくろは、レーザー治療で皮膚に負担をかけずに除去することが可能です。
ほくろの除去には、「炭酸ガスレーザー」という種類のレーザーを照射して、皮膚に含まれる水分とともに、ほくろの組織を蒸発させて取り除きます。 施術は局所麻酔で無痛のうちに、5分ほどで終了します。 除去した部分は、施術直後はくぼんだ状態になりますが、軟膏で2週間ほど保護すると、皮膚が再生してきます。 再生した皮膚が色素沈着をおこしてシミにならないように、施術後2ヶ月は日焼け止めのアフターケアが必要です。
治療後のアフターケア
ほくろのレーザー治療後、皮膚の再生を促すために、2週間は軟膏処置が必要です。その後、少なくとも照射から2ヶ月間は、色素沈着を予防するために、2ヶ月の紫外線予防(日焼け止め)が重要です。
ほくろの手術治療後は、抜糸して数日後から、きずあとが大きくならないように、また、紫外線を予防する目的で、テープ療法(医療用テープによるきずあとの保護)が必要です。
ほくろを除去した部位が本当に目立たない状態に安定するには、数ヶ月かかりますので、これらのアフターケアがとても大切です。