陥没乳頭
陥没乳頭とは、隆起しているはずの乳首が、内側に入りこんでしまっている状態のことを言います。
陥没乳頭は健康保険で治療できます。
陥没乳頭は授乳や衛生面の症状を引き起こすため、50歳未満の手術治療は健康保険が適応されます。50歳以上の方は授乳機能への悪影響の危険性は非常に少ないため、自費診療となります。
乳頭が引き込まれていることによる形の症状のほかに、機能的な症状も起こします。
1. 授乳しにくくなります。
乳首が出にくいため、飲ませにくかったり、乳首が短いことで赤ちゃんの吸い付きが悪くなります。重度の陥没乳頭では乳管の通り自体が悪くなり、乳腺で母乳が作られるものの、乳管を通って外に出すことができなくなり、胸が張ることもあります。 場合によっては、乳頭や乳腺の炎症が起きて痛みや熱の原因(うっ滞性乳腺炎)になる恐れがあります。
2. 衛生面のトラブルを起こします
陥没乳頭は垢がたまりやすいため、においや皮膚炎、感染症の原因になることがあります。へこんでいるために、十分にスキンケアがおこなえず、授乳期間であればなおさら、炎症の原因となります。
陥没乳頭の治療
陥没乳頭の治療で注意すべきことは、将来、妊娠・出産をお考えの方は、授乳ができるように乳管の機能をしっかり温存しないといけないということです。そのために、当院では、次のような方針で治療しています。
未成年で乳腺が発達する時期
陰圧で吸引をかけてじょじょに乳管をのばす装具での治療をおすすめしています。自宅でおこなうことができ、吸引の圧力を調節することで痛みもほとんどありません。
乳腺が現在進行形で発達する時期に手術による治療をおこなうと、術後の乳腺のさらなる発達で乳管とのアンバランスが起こり、陥没乳頭が再発する可能性があります。
乳腺の発達が終了した時期
手術での治療をおこないます。乳管を顕微鏡で見ながら傷つけないように丹念に延長し、皮膚の裏側から乳首を押し上げて整えます。さらに、隆起した形を維持して、再度、乳頭が引き込まれないように乳輪皮膚の組み替え(皮弁形成術)をおこないます。
術後の痛みとアフターケア
乳首は神経が敏感で手術は痛いというイメージをお持ちのかたがいらっしゃいますが、手術は局所麻酔で行い、術後の痛みも痛み止めの内服薬で十分に抑えられる程度です。
また、手術後しばらくは乳首の感覚が鈍くなることがありますが、数ヶ月でだんだんに回復してきます。
ほとんどの場合、手術翌日に創部の出血がないかを確認し、問題なければシャワー浴が可能になります。乳頭は石鹸の泡でやさしくなで洗いするようにしてください。
乳首への摩擦や圧迫を避けるため、医療用のスポンジでの保護が必要です。抜糸した後は、スポンジで保護した状態での、運動、ブラジャー等は可能です。性行為等での乳首への刺激は、3ヶ月間の制限があります。
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